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第28回おかやまユニバーサルツーリズム研究会

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第28回おかやまユニバーサルツーリズム研究会

第28回おかやまユニバーサルツーリズム研究会を開催しました。
今回は、理学療法士として外出支援に取り組まれている近藤 育美 氏(つなぐPT)にご登壇いただきました。

スクリーンに「おでかけサポートとは」のスライドを映して講演する近藤育美氏

📅 開催概要

開催日:2026年10月20日(火)
会場:岡山国際交流センター
講師:近藤 育美 氏(つなぐPT)
テーマ:「やってみたい」を、やってみる

1.講演の概要

近藤氏は、理学療法士として病院や訪問リハビリテーションに従事する中で、高齢者や障がいのある方が外出や旅行を諦めている現実に直面しました。
特に印象に残っているのが、訪問リハビリで関わった利用者からの「もう一度だけ別荘に行きたい」という希望だったそうです。
当時は、その希望を実現するための具体的な方法を提案できなかった。
この経験から、身体機能の回復だけではなく、本人が本当にやりたいことを実現する支援の必要性を感じ、外出支援活動を始められました。

2.外出を諦める理由

外出が難しくなる原因は、身体機能の低下だけではありません。
移動手段の不足、バリアフリー情報の不足、付き添い人材の不足、家族の介護負担など、複数の要因が存在します。
近藤氏は、本人の努力だけでは解決できない問題に対して、環境整備や人的支援を組み合わせることが重要だと説明されました。

3.これまでの学びと実践

近藤氏は、旅行介助に関する資格取得をきっかけに、京都、奄美大島、岡山などの研修に参加されています。
京都では、実際の街歩きを通じて移動環境や観光時の課題を学ぶ。
奄美大島のゼログラビティでは、設備などのハード面と、介助技術や声かけなどのソフト面を組み合わせる重要性を学ぶ。
岡山では、目的地へ安全に到着するだけでなく、本人がその場所で何を楽しみたいのかを考えることの大切さを再確認した、とのことでした。

4.具体的な外出支援事例

①「もう一度プールで泳ぎたい」
車椅子利用者の希望を受け、倉敷市の真備いきいきプラザでプール体験を実施。
施設にはプールへの入水を支援するリフトが設置されていましたが、利用頻度は非常に少ないのが現状でした。
既存設備の情報が十分に知られていないことが課題として浮かび上がりました。

② 長崎での街歩き
車椅子利用者とともに長崎の街を歩き、移動環境を確認。
坂道や石畳、店舗入口の段差など、インターネットの情報だけでは把握できない課題がありました。
一方で、地域住民による自然な声かけや協力もあり、人による支援の重要性を実感したそうです。

③ 倉敷のコスプレイベントへの参加
これまで家族と一緒に外出することが中心だった障がいのある方を支援。
本人が行きたい場所を自分で選び、寄り道を楽しむ経験につながりました。
利用者からは、さらに別の場所にも出かけたいという前向きな声が聞かれたとのことです。

岡山国際交流センターの会議室で講演に耳を傾ける第28回研究会の参加者

5.活動を通じて見えてきた課題

近藤氏は、今後の活動に向けて次の課題を挙げられました。

・支援できる範囲と医療的行為などの境界を明確にすること
・外出中の事故や緊急事態に備え、責任分担と対応方法を整理すること
・適切な料金設定を行い、継続可能な事業の仕組みを構築すること
・医療・介護・福祉・観光・交通など、多様な専門職との連携を広げること

6.今後の活動方針

当面は個別の外出支援を中心に、利用者一人ひとりの希望に丁寧に向き合う。
将来的には、介護施設や医療機関、地域の事業者との連携を広げ、継続的に外出支援を提供できる仕組みをつくっていきたいと説明されました。
さらに、誰もが参加できるイベントや居場所づくりにも取り組みたいという展望が示されました。

7.研究会会員に期待すること

近藤氏は、自分一人ですべての課題を解決することは難しいと説明されました。
そのうえで、研究会会員に対して、支援を必要としている人の紹介や、専門的な知識・経験の共有、交通・観光・福祉分野の関係者との橋渡しなど、幅広い協力を呼びかけられました。

8.研究会としての重要な気づき

今回の講演から読み取れる重要な点は、ユニバーサルツーリズムを推進するために、必ずしも新しい設備や大規模な事業を一からつくる必要はないということです。
すでに地域に存在している設備、人材、知識、サービスをつなぐことによって、新しい外出の機会が生まれる可能性があります。
また、外出支援の成果は目的地に行けたことだけではなく、本人が「次はここに行きたい」「こんなこともやってみたい」と、新しい希望を持つことにもあります。
今回の講演は、ユニバーサルツーリズムを実践するうえで、本人の希望を起点として地域の多様な資源をつなぐことの大切さを共有する機会となりました。

まとめ

今回の講演を一言でまとめるなら、
「できない理由を探すのではなく、どうすればできるかを、地域の仲間とともに考える」
ということになります。

近藤氏が進める外出支援は、医療・介護・福祉・観光などの専門分野を横断する活動であり、研究会会員がそれぞれの専門性を生かして参画できる可能性を示していただきました。
近藤さん、どうもありがとうございました!

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